都会のダム
渋谷区8000トン 墨田区23000トン!?
さて、
この数字は何を表すかお分かりでしょうか?
これらは、なんと集中豪雨や大型台風に備えた雨水タンクの収容量を表しているのです。
渋谷のケースは再開発が進む駅地下に「渋谷駅東口雨水貯留施設」の整備が行われ、2020年8月31日から供用を開始されています。
もともと渋谷駅は、道玄坂や宮益坂など周囲を坂に囲まれた「谷」にふさわしくスリバチ地形の中心に位置します。
渋谷駅と表参道駅の標高差は約22メートル。
銀座線・渋谷駅ホームが、地下鉄でありながら渋谷スクランブルスクエア3階部に接続していることからも、駅周辺が極めて低いことが分かります。
渋谷駅周辺にはこの「東口雨水貯留施設」のほか、2018年度に供用を開始した「神南貯留菅」もあります。主に公園通り側の雨水対策を担う「神南貯留菅」は、東口のようなプール型ではなく、地面に大きな管を埋めて一時的に雨水を貯めておく装置です。
貯水量は約4000トンを有し、今回の東口雨水貯留施設の供用開始に伴い、渋谷駅周辺の雨水を最大約8000トンまで貯めて置ける設備が整ったことになります。
もちろん、昨今の集中豪雨は1時間に100ミリ、200ミリ以上の激しい雨量も珍しくなく、これだけでは万全とはいえない。が、都市機能の麻痺や地下鉄、地下街への浸水を防ぎ、なるべく被害を軽減させるという点では大きな役割となるでしょう。
渋谷駅の大規模再開発工事というと、地上レベルの新しい商業施設にばかり目がいきがちであるが、まさに縁の下の力持ちの存在といえるでしょう。見えないところで、渋谷のまちづくりを支えていることが分かります。
一方、墨田区では、両国国技館、東京スカイツリー、区役所、江戸東京博物館などの大規模施設の地下には、1000トン以上の雨水タンクが埋まっています。一定規模のマンションやビルの貯水設備、家庭用タンクも合わせた区内約600基以上の雨水タンクの総貯水量は23000トンを超えるといいます。
なかでもスカイツリーの地下内部は2635トン、区内最大の「ダム」となっています。 植栽の水やりは、ほぼ雨水で賄っているといいます。また、区役所や銭湯「御谷(みこく)湯」でも、雨水をトイレの洗浄水などに活用しています。
区内では1994年に「雨水利用東京国際会議」が開催され、「雨水市民の会」はこの時の実行委員有志が始めたものです。
「流せば洪水、貯めれば資源」をモットーに、簡単にできる雨水タンクの作り方や子どもたちへの環境教育など、さまざまな「雨活(あめかつ)」を紹介しているそう。
その中で「雨水を含めた水循環に目を向けて、水を基軸に環境を守る暮らし方の一つが雨水活用」。
「まずは雨水を貯めてみること。雨の日にバケツを出しておいて、植木に水をやることから始めてもいい」とアドバイスがあります。
私たちがすぐにでもマネできる活用法ですね。
さっそく試してみようと思います。
(参考Webサイト)
渋谷文化プロジェクト/東京新聞